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5年分の「税の作文」受賞作を解析して、 究極の税の作文「アルティメット・TAX・ドラゴン」を作りたいんですよぉ~
5年分の「税の作文」受賞作を解析して、
究極の税の作文「アルティメット・TAX・ドラゴン」を作りたいんですよぉ~
こんにちは 公認会計士・税理士の富村亮超です。
「税の作文」を皆さまご存じでしょうか。
税の作文の審査を担当されている人が言っていました。
「断定はできないが、明らかにAIで作成したものではないか、という作品が散見される。」
一応、応募要項にはこのように明記されています。
- 生成AIによって作成された文章の応募はご遠慮ください。
ご遠慮ください、という「禁止」に比べればゆるい書き方です。
さもありなん。
実際、私が直接話した中学生は「面倒だからチャッピーにやらせるかぁ」と言っていました。
「AIはだめだよ」というと
「富村さんは税理士なんでしょ、代わりに書いてくださいよ」と言ってきました(※彼は冗談を言っています)
なるほど、面白い。
では、税とAIの専門家である私が
5年分の受賞作を解析し、究極の税の作文「アルティメット・TAX・ドラゴン」を作ってみましょう。
骨折の値段
ぽきり、という音を、私は今でも覚えている。中学二年の冬、バスケットボールの試合中に転んで、左腕を骨折した。救急外来に運ばれ、レントゲンを撮り、ギプスを巻かれ、痛み止めをもらった。会計の窓口で母が財布から出したのは、五百円玉が一枚。私は思わず聞いた。「それだけでいいの。」
母は笑って言った。「子ども医療費助成があるからね。あとは税金が払ってくれてるんだよ。」
税金。社会の授業で聞いたことはあったけれど、それは大人が払わされるもの、ニュースの中で文句を言われているもの、というイメージしかなかった。骨折と税金がつながるとは思ってもみなかった。不思議に思って、調べてみた。
医療費の自己負担は本来三割。それ以外は保険料と税金で支えられている。さらに私の市では、子ども医療費助成制度によって、中学生までの自己負担分を市が肩代わりしてくれている。レントゲン、ギプス、診察。本当なら数万円かかるはずの治療を、私は五百円で受けていた。海外では救急車を一回呼ぶだけで何万円もかかる国があることも知った。日本の救急車の出動は年間約七百六十万件。一回の出動には約五万円の費用がかかり、それも税金で賄われているという。
私はそれまで、税金は「取られるもの」だと思っていた。買い物のたびに一割上乗せされる消費税を、損だと感じていた。けれど、あの日の会計窓口で、私は間違いなく「もらう側」にいた。私の左腕は、名前も知らない誰かが納めた税金で治してもらったのだ。そう気づいたとき、レシートの五百円という数字が、まったく違うものに見えてきた。
これから日本は少子高齢化が進み、支える人が減り、支えられる人が増えていく。私たちの世代の負担は今より重くなるかもしれない。正直、不安がないと言えば嘘になる。でも、負担の重さだけを見て文句を言う大人には、なりたくないと思う。あの五百円の向こう側に何があるのかを知っているのと知らないのとでは、同じ税金でも意味がまるで違うからだ。
ギプスが外れた日、私は左腕を大きく回して、もう一度コートに立った。今、私の腕は何の跡も残らずに動いている。いつか働いて税金を納めるようになったら、今度は私が、会ったこともない誰かの骨折を治す番だ。取られるのではない。返して、渡していくのだ。
骨折の値段は五百円ではなかった。あれは、社会全体で分け合った値段だった。私はそのことを、この左腕でずっと覚えていようと思う。
10分で出来ました。一文字たりともいじっていない、ありのままのAI生成作文です。
いかにも受賞しそうです。
ではこれから「税の作文」を攻略する皆さんのために、攻略テクニックを伝授します。
中学生「税についての作文」攻略テクニック
根拠: 令和3〜7年度の受賞作44編(大臣賞全20編+国税庁長官賞等24編)の全文分析。
一、構成 —— 受賞の「型」に載せる
5年間、大臣賞から団体賞まで、入選作はほぼ全てこの順で流れる。
- 私的情景かセリフで開幕(冒頭200字以内。44編中の大半)
- 家族のセリフが税への橋になる
- 「調べてみた」で知識を注入(数字1〜2個を添える)
- 転回: 税=取られるもの→実は支えだった
- 少子高齢化に触れて一般化
- 小さな決意+冒頭のモチーフに回帰して閉じる
型からの逸脱は要らない。
二、題材 —— 当事者性の序列で選ぶ
当事者性やドラマ、特にかわいそうな境遇があることで、受賞率が上がってしまう。
24時間テレビへの批判でも「感動ポルノ」という言葉があるが、私はこの解析結果には正直不満である。
選考批判と受け取っていただいてよい。
強い順に:
- 家族の病気・障害(最強。総理大臣賞は5年中2回この型: R4兄の重度知的障害・時給131円、R7妹の聴覚障害と補聴器助成。ほか祖母の難病、祖父の認知症、弟の発達障害、姉のアトピー等が入選)
- 自身の被支援体験(救急搬送、コロナ療養、母子家庭の就学援助、児童養護施設)
- 家業と税(造り酒屋の酒税で総理大臣賞・R3)
- 地元の時事(LRT、交通税、宿泊税、森林環境税、部活動の地域移行)
- 調べ物単体(最弱。団体賞止まりが多い)
時事は毎年の衣替えに使う: R3コロナ・五輪→R4コロナ体験→R5森林環境税→R7消費税減税論。
その年のニュースを一つ差し込むと「今年の作文」になる。
三、タイトル —— 「税」の字を外す
上位賞ほどタイトルから税の字が消える。
「税の作文」はまず、文学的な感動が必要であり、税そのものをいかに税以外のストーリーやモチーフで描けるかが勝負である。
総理大臣賞「無駄にしないように。」、 長官賞「拍子抜けするほどの風景」「姉の笑顔」、会長賞「私の苦手な弟」。
「税金と未来」のような直球タイトルは団体賞止まり。
本文の具体物(ゴミ箱、チューバ、段ボール)を上手にタイトルに入れる。
四、家族のセリフ —— リアリティ
文中に会話を入れることで、ストーリーに膨らみが出る。
「ゴミ分別しないと、税金の無駄遣いだよ。」(母・総理大臣賞)が手本。
書き手の結論を親に言わせてはいけない(「なくなってから気づくのが税金なんよ」のような 格言は主題文の腹話術で、読者に気味悪がられる)。
親はむしろ役に立たないくらいでいい。
五、数字 —— 1〜2個、身近な例
数字を少し入れると、リアリティが増す。
実測: 入選作の具体数字は平均1.9個。
清掃車一台千万円、救急車一回五万円、缶ビールの半分弱は酒税。
政策レポートのようなワード選び(補填率、交付税、経費率の羅列)は即座に大人の文になる。
換算は子供の物差しで:「車が買えそうな金額」「おこづかいの何年分」。
六、批判 —— 冒頭の伏線として使う、必ず回収する
税金の一般的な負のイメージ(取られる・厄介・無駄遣い)を冒頭の掴みとして提示する。
ただし44編中、税の存在自体への批判で終わる作品はゼロであり、制度の存在は批判しない。
七、転回 —— 気づきと感謝で盛り上がりどころを作る
負のイメージから正のイメージへの逆転を作る。
「間違った判断をしていたことに気がついた」「自分の考えの浅さが恥ずかしくなった」。
知識の更新ではなく、自分の不明を恥じる形で書くと審査員に届く。
「感謝」の語は44編の半数近くに出る。
八、締め —— 小さな決意と、伏線回収
「税制を変えたい」ではなく「ちゃんと見る大人になりたい」「しっかり納めたい」。
提案はしない。
最後の一文は冒頭のモチーフ(ゴミ箱、姉の笑顔、チューバ)に戻して伏線を回収する。
九、字数 —— 上限めいっぱい
44編すべて1,009〜1,233字。規定1,200字(題名含む)の9割未満は入選しにくい。
いかがでしょうか。
10分でここまでのものが出来てしまうのは、完全に制度の想定の射程外ではないかと。
歴史と伝統ある「税の作文」であり、租税教育を推進する弊所の所長にとっても思い入れのある行事だと思います。。
ですが私が主張したいのは、そもそも、「税の作文」は最早行事として成り立たない状況に突入しているということです。
審査員だってわかるわけがない。
今回はそういった問題提起を込めてこのような「ハック」を公開することとしました。
大いに役立ててもらい、AI作の素晴らしい税の作文で審査を盛り上げていただきたい。
そして、「税の作文」のそもそもの目的や、意義を業界として再考していきたいです。
