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書籍紹介「独立する公認会計士のための税理士実務100の心得」
こんにちは。公認会計士の富村亮超です。
今日は、まさに「自分がもっと早く読んでおくべきだった…」と思わされる本を、著者の森先生から直接ご紹介いただく機会があり、即ポチ→即読了しました。
すでに重版が何度もかかっているとのことで、読めばその理由がすぐに分かります。
🔍 特に読みごたえがあった3つの章
読んでいて共感しまくったのが、この3つ。
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34 重要性の基準値は存在しない
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56 中小指針・中小要領と会計は違う
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70 消費税はとにかく恐ろしい
それぞれ、監査からキャリアが始まった私には刺さりすぎて、読みながら頷きすぎて首が痛いレベルでした。
① 重要性の基準値──税務にはそんなものはない
監査の世界では、
「この金額以上ズレてたら監査OKしないよ」
という“重要性の基準値”が存在します。
例えば、利益100億円の会社で10万円ミスしてても、
「まぁ大勢に影響ないしOK」
となる場合がある。(もう少しだけ精緻に言えばこれくらい小さければ重要性の基準値ではなく、「明らかに僅少な虚偽表示と判断する金額(SUM)」)
ただし——
これは完全に監査だけのルール。
税務には一切存在しません。
税務では、「一定額以下は不問」なんて世界はなく、すべてが原則規定と例外規定の積み重ね。
同じ“金額のミス”でも世界観がまるで違います。
(余談ですが、監査法人出身者は自分のお金の扱いもどこか雑になりがちで、ATM手数料など細かいちりつも出費をSUM未満として気にしない人が多い…気がします。)
② 中小指針・中小要領──実務との差に驚く
これも監査法人出身者が最初に感じるギャップ。
世の中の多くの会社が使っているのは、実は中小指針・中小要領。
監査法人が見ている会社は“世の中のほんの一部”でしかありません。
実務に入ると、
「あ、こっちの方が圧倒的に現実なんだ」
と気づきます。
③ 消費税──監査法人経験者ほど“盲点”になりがち
監査では「未払消費税」を最終数値として見るだけなので、実は深く触れないことが多い分野です。
でも現実の消費税は——
とにかく恐ろしい。
財務インパクトも、実務負担も、責任も、監査での“スコープ外科目”の感覚とはまったく別物です。
この本は“不要な人のほうが多い”。でもニッチに突き刺さる
一般向けの本ではありません。
正直、おそらく9割9分9厘の人には不要。
しかし——
残り1厘の人には、ドンピシャすぎて一生感謝する本。
私もその1人でした。
同業の方々に広めずにはいられません。
以上、強くおすすめできる1冊です。
