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会計監査と財務デューデリジェンスの違いについて
こんにちは。富村亮超(りょうたつ)です。
そもそも財務デューデリジェンスとはなんぞや、という話
財務デューデリジェンスとは
M&Aに関する意思決定のため、対象企業の財務状況を詳細に調査し、潜在的なリスクや価値を正確に評価する手続きのことです。
財務デューデリジェンスは、財務状況の調査という点で会計監査と似ている部分も多いですが
実際には違うところも多々あります。
その中で、今回は財務デューデリジェンスを「する側」の目線で
いくつかの特徴的なポイントを整理したいと思います。
➀「不確実」という情報価値
たとえば会計監査、特に財務諸表監査においては、財務諸表の利用者に保証を与えるという目的がありますので、基本的には「わからない」はNGです。(一部の例外を除く。)
一定の心証が得られるまで監査を実施します。
一方で、財務デューデリジェンスにおいては「わからないこと」「一定のリスクがあること」それ自体も、依頼者にとって有用であれば情報価値となります。
したがって、より幅広い情報を提供することが可能です。
②会社側リソースの制約
通常、財務諸表監査、税務調査においては会社様にも多くのリソースを割いて頂き、監査を実施します。
多くの監査証拠を集めるため、経理、営業、情報システム、在庫管理担当、様々な会社様の従業員の方の協力、提供があって初めて成り立つものと言えます。
一方で、財務デューデリジェンスはM&A案件自体の秘匿性から、社内従業員には知らされずに実施されることもままあります。
財務デューデリジェンスに必要な情報をどのように集めるか、時間・場所の制約は監査よりも厳しいと言えます。
また、税務調査とも違い、強制力がありません。
したがって、会社側が(裏付け書類を)出さないと決めたら出さないということも当然あり得ます。
③基準が無い
監査は監査基準によりその手続が規定されているため、誰がやってもある程度は似た手続になります。税務調査も、法に規定されています。
「なんでそんな手続きをしないといけないんですか?こちらも忙しいのに。なんとか手続省略or変更になりませんか?」
と会社の担当者から言われるケースも多いですが、
「この監査基準に記載がある通り、必要な手続きでしてどうかお願いします。」とお願いすることができます。
一方で財務デューデリジェンスにはそういった拠り所はありません。
フリーです。フリーが一番大変です。今日の晩御飯に何が食べたいか聞いて、「なんでも良い」と言われる方がきついですよね。
こうなると質もピンキリになるのは想像に難くないでしょう。
したがって、残念ながら財務デューデリジェンスの実施方法や、品質は担当者のレベルや誠実性に左右されてしまうという状況ではあります。
依頼した側からすれば、ペラッペラの報告書を出されて何百万円も請求されたら、たまらないですよね。
こういった問題を受けて、中小M&Aの資格試験が将来的に出来るようです。今でも一定の資格はありますけどね。
おわり
今回は、財務デューデリジェンスを実施する側の目線でポイントをいくつかまとめてみました。
財務デューデリジェンスを依頼する側、受ける側にとっても、色々な側の目線を知ることでより良いM&Aになることと思います。
少し難しい回になりましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
富村亮超(りょうたつ)
