不動産事業
自社株式の生前贈与による相続税対策
顧問先であるA社は、十数年前に起業したビジネスが成長し、来期は大型案件の受注が予想され、自社株式の価値が高くなりそうな転換期にありました。この会社の株主は創業者であり、ほとんど全ての株式を保有しています。このような状況で、相続が開始した場合、後継者が負担する相続税も増え、最悪の結果、株式全部を引き継げないこともあります。後継者となる人材が確定している場合、株価が上昇する前に後継者に株式を生前贈与するなど、早めの相続税対策が必要です。
抱えていた悩み
後継者に最小の税負担で会社を引き継がせたい
自社株式のほかにも個人財産があり将来相続税がどのぐらい生じるか知りたい
後継者がまだ若く力不足のため、当面は経営権を譲るつもりはない
相続が生じたときに備えて納税資金を準備しておきたい
マネックス合同会計からの解決策提案
- 相続時精算課税制度を使って自社株式の贈与を提案
非上場株式の場合、自社株式は「類似業種比準価額方式」と「純資産価額方式」により評価します。純資産価額は、時価評価による資産から負債を差し引いて計算します。当該顧問先は、多数の不動産を保有していたため、不動産の所在地にて現地調査を行い評価額を算定するなどして、自社株式の価値を計算しました。
計算の結果、自社株式が相続時精算課税の特別控除額(2,500万円)の範囲であったため、同制度を適用して株式を移転させるのが最適であるという判断から、生前の株式贈与を提案しました。
- 個人資産を調査し相続税がいくらかかるか試算
自社株式と個人資産を全て洗出し、現行の相続税法に基づいて、いくら相続税額がかかるか試算しました。その結果をもとに、生命保険契約の見直しや不動産の有効活用などの相続税対策について提案しました。
- 株式の贈与後も現社長が代表取締役として留任
当該顧問先の社長と後継者とは円満であり、後継者が経営権を主張する心配もないことから、現社長が引き続き代表取締役として留任しています。もし仮に、自社株を複数の相続人に贈与する場合、会社の経営をめぐってトラブルになることも考えられますので、議決権を特定の一人に集中させた方が良い場合があります。普通株式の一部を無議決権株式に変更するなど、場合によって提案しています。
- 納税資金の準備対策を提案
退職金の支給に備えるための保険契約や共済契約は、一部を会社の経費にできるものがあります。納税資金を預貯金で確保しておくと、その納税資金自体にも相続税が課税されますが、死亡保険金や死亡退職金で受取れば、一定の非課税枠が用意されていますので、相続税の軽減対策になります。
得られた成果
贈与税を負担することなく、後継者に自社株式を移転することができました。
相続税の資金準備を早めに行うことで、相続税に対する不安が解消されました。